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バイクのディスクブレーキとブレーキパッド
ブレーキパッドの役割と重要性
ブレーキパッドはブレーキキャリパーと呼ばれるバイクの制動装置内に組み込まれた部品で、スピード調整や停止をするための安全面で非常に重要なパーツです。
ブレーキは常に人間とバイクで数百kgにも及ぶ重量の加速を制御するという過酷な状況下にあり、日々削り取られ薄くなっていくブレーキパッドは消耗部品であり定期的な交換が必須です。
2種類のバイクブレーキシステム
バイクのブレーキシステムは一般的に2種類で大別されます。
【ディスクブレーキ】
今回紹介しているバイクでは現在主流となっているブレーキシステムです。
車にも搭載されているシステムで、ディスクブレーキで使われるのが本題のブレーキパッドです。
【ドラムブレーキ】
歴史は古く、昔のバイクにも多く採用されていたブレーキシステムです。
現在でも原付バイクや自転車の後輪にも搭載されています。
ディスクブレーキの仕組み
ディスクローターを2枚のブレーキパットで挟み、運動エネルギーを熱エネルギー(摩擦熱)に変換放出するディスクブレーキシステムは、ドラムブレーキよりも制動力に優れています。
【バイク制動の仕組み】
①バイクのブレーキレバーやフットペダルを操作
②マスターシリンダー内のブレーキオイルがブレーキホース介してキャリパーピストンに加圧
③タイヤのホイールと一体化させたディスク板をピストンに押されたブレーキパッドが挟む
④発生した摩擦力が接地するタイヤの動静を加減してスピード減速や停止が可能となる
ブレーキパッドの安全点検と交換時期の目安
新品で4ミリ程の厚みがあるブレーキパッドを目視で定期的に確認して、日々の摩耗によりパッドの残厚が1ミリ位になれば交換時期の目安です。
摩耗が進みパッドがすり減りなくなった状態での走行は、バイクの制動能力が落ちるために大変危険です。またブレーキパッドのベース金属がディスクローターを挟み、高価なディスク板を傷める原因にもなります。
安全にバイクを楽しむために定期的にパッド残量を目視で確認して、余裕を持って信頼できるバイク屋さんで交換するようにしましょう。
リアブレーキパッド交換手順・トルクレンチ
デイトナのリアブレーキパッド
CB1300SF SC40に適合するDAITONA(デイトナ)のゴールデンパッドです。
表記が古いですが、随分前からストックしていたリア用のブレーキパッドです。
価格も色々あるブレーキパッドですが、やはり名前の通ったメーカー品が安心です。
ですが公道走行のツーリングや街乗り程度であれば、消耗品のパッドは高価な物でなくても良いと思います。
キャリパーの取り外しと洗浄
ブレーキパッドの交換ではまずキャリパーを取り外します。
キャリパーを固定しているボルトを外す前に、ブレーキパッドを固定しているパッドピンを少し緩めておくと良いでしょう。
パットの摩耗以外は特にブレーキには不具合がないので、今回キャリパーは洗浄とピストンのグリスアップ程度で済ませます。
制動に気掛かりがあれば、パッキンなどの消耗部品を取り寄せてキャリパーのオーバーホールをするか、その他の原因を特定してのメンテナンスが必要です。
キャリパーの洗浄は頑固なブレーキダストに効果的な、専用クリーナーを使用すると効率よく綺麗になります。
パッドピンとテンションスプリングの取り外し
マイナスドライバーでブレーキパッドを固定しているパッドピンを外し、テンションスプリングも外してキレイに洗います。
パッドピンも触ってザラつきがあればサッと番手の細かいサンドペーパーをサッとかけますが、あまりに不均等な削れや変形があれば交換が必要です。
再び取り付ける際にはパッドピンのパッドをサポートする部分にグリスアップしておきます。
リアブレーキパッドの交換
ブレーキパッドを交換する場合、音なり予防の措置としてディスクローターに馴染みやすいように、新品パットの角をヤスリなどで削って面取りしておきます。
キャリパーピストンに接触するパッドの金属部分にもパッドグリスを塗布しておきます。
錆びたキャリパー純正ボルトの入替え
今回はサビが気になっていたリアブレーキキャリパー取付けボルト一式も交換します。
メーカー純正のボルトはバイク屋さんで取り寄せてもらったり、パーツリストがあれば品番を確認して自分でモノタロウなどのネットショップで安く購入することも可能です。
古いバイクの場合はメーカーにパーツリストと同品番の物がなくても、同じ部品が違う品番に変わって製造されている場合もあります。
トルクレンチで取り付けのトルク管理
キャリパーを再固定する際はサービスマニュアルに記載されているトルク値を、信用できるトルクレンチを使って遵守して取り付けます。
因みにバイク用のトルクレンチは株式会社東日製作所(トーニチ)のQL50N-MHを使用しています。
小さなメンテナンスは大概これで事足ります。
昔から”トルクレンチといえばトーニチ”というぐらい信頼のおけるメーカーです。
リアブレーキキャリパー組み付けのコツ
キャリパーを戻す際は余裕を持ってディスク板を挟んで取り付けできるように、ピストンを少しだけ押し込んでおくのがコツです。
セットできたらトルク値を守り、リアキャリパーをボルトナットでしっかりと組み付けます。
古いボルトをそのまま使う場合はネジ緩み止め剤を塗っておくと良いでしょう。
【CB1300SF SC40 リアキャリパー取付トルク値】
- キャリパー取り付け用ボルト×2本
44N・m(4.5kgf・m) - トルクリンク用ボルト・ナット×1セット
29N・m(3.0kgf・m)
リアブレーキパッドとキャリパー取付けボルトの交換完了です。
フロントブレーキパッド交換
ダブルディスクブレーキシステム
CB1300SFのフロントブレーキシステムは、ダブルディスクと呼ばれるディスクローターが前輪の両サイドに合計2枚装備されているタイプです。
ディスクとセットであるブレーキキャリパーも2組搭載され制動力を高めています。
フロント用のDAITONAブレーキパッド
フロント用のブレーキパッドはキャリパー同様に2組、合計4枚のパッドが必要です。
こちらも古いストック品ですが、CB1300SFのフロントに適合するDAYTONA(デイトナ)ハイパーシンタードパッドです。
フロントキャリパー洗浄・ピストン動作確認
フロントもリアと同じくブレーキキャリパーを外してブレーキパッドを交換します。
洗浄してピストンを押し込み動作確認の際には、マスターシリンダーからブレーキフルードがオーバーフローしないように気をつけます。
キャリパーピストンを押し広げる専用工具もありますが、基本指の力で対処しています。
固い場合は傷をつけない木の柄や樹脂の歯ブラシなどを使い、テコの原理で押し広げます。
メンテナンス・洗浄用ケミカル
最近はメンテ用の優れたケミカル(化学合成洗剤)も充実しています。
メンテ箇所に見合ったケミカルの使用は、不要な磨き傷をつける心配もなくスピーディーに作業を進めることができ非常に効率的です。
フロントブレーキパッド交換完了
リアと同様に新しいブレーキパッドの面取りとグリスアップを済ませて組み付けます。
フロントキャリパー取り付けもマスターシリンダーのオーバーフローに気を付けながら、キャリパーピストンを押し広げておくと取り付けがスムーズです。
【CB1300SF SC40 フロントキャリパー取付トルク値】
- キャリパー取り付け用ボルト×左右で4本
44N・m(4.5kgf・m)
フロントブレーキパッドも無事に交換完了です。
パッド交換後:走り出す前の注意点
ブレーキレバーとブレーキペダル
ブレーキパット交換直後は、ディスクローターとブレーキパッドが密着していません。
走り出す前に一度ブレーキレバーをしっかり握り、同じくブレーキペダルもしっかり踏み込み、パッドをディスクに馴染ませることを忘れないようにしましょう。