本ページはプロモーションが含まれています
「不動山の巨石」は和歌山県紀北に位置する橋本市杉尾から635段の階段を登った山中にあり、今なお葛城修験の古い伝説が残るパワースポットです。
今回はバイクを駐車場に置き、徒歩で山頂付近の巨石群にアクセスできる「階段コース」と「まわり道コース」2つのルートを散策してきました。
不動山(ふどうやま)の巨石伝説
大きな岩が点在する神秘的なこの場所には葛城山を修験の行場とした役行者と、日本書紀にも登場する一言主神にまつわる伝説が残っています。

役行者と一言主神
伝説は数ある史跡の由緒書きに度々登場する役行者が、不動山から同じく修験道の行場である吉野・大峰まで橋を架けようとしたことから始まります。
現在も残る不動山の巨石群は、役行者より命を受けた一言主神が夜な夜な集めた、橋を架けるための材料であったと伝わっています。
挫折した伝説の一大プロジェクト
伝承によれば、容姿を気にした一言主神が人目につかない夜間しか行動できなかっため、作業が進まずこの一大構想は工事半ばにして中断したとされています。
夜間作業のみでも続けてさえいれば、いずれは完成したと思うのですが・・・。
体調面や工期的な問題など何か制約があったのでしょうか。
もしこの伝説の建造物が完成していたらと思うとワクワクが止まりません。
挫折したとはいえ、視界の良くない夜間に重機を使わずこれだけの結果を残したとされる一言主神は、やはり並外れた存在だったと想像できます。
アクセス
今回はツーリングの目的地として不動山の巨石を訪れましたが、周辺は山間部で公共交通機関の便はあまりよくありません。
車やバイクであれば便利な京奈和自動車道や国道310号線・371号線などを使って、和歌山はもちろん大阪や奈良からもアクセスしやすい立地です。
所在地と地図
【住所】〒648-0001 和歌山県橋本市杉尾
不動山巨石駐車場
麓には5〜6台は駐めることができそうな無料駐車場があり、トイレも備わっています。
【駐車料金】無料

駐車場までの距離と所要時間
- 京奈和自動車道からのルート(約6.3km・15分)
京奈和自動車道「橋本東IC」を降りて約4km北上→小峰台住宅地をすぎたカーブ手前の信号を右折して約2km→左手にある「金剛生駒紀泉国定公園」の看板を左折。杉尾方面へ - 国道310号線からのルート(約5.9km・15分)
県道261号の交差点を右折して約4.5km→右手にある「金剛生駒紀泉国定公園」の看板を右折。杉尾方面へ - 国道371号線からのルート(約5.6km・15分)
橋谷大橋で城山台住宅地を抜けたカーブ終わりの信号を左折→約2km走って左手にある「金剛生駒紀泉国定公園」の看板を右折。杉尾方面へ
※所要時間は交通状況により異なります。
橋本市 デマンド(予約型乗合)タクシー
不動山の麓まで行くには、予約をすれば乗車できるデマンドタクシーを利用する方法もあります。

【運行日】月〜土曜日(日・祝・12月29日~1月3日運休)
【運賃】・大人 200円 ・小人(小学生)100円
※2025年6月現在。詳しくは橋本市役所にお問い合わせください。
参考:橋本市デマンド(予約型乗合)タクシーについて
散策コース①:階段
駐車場から不動山の巨石がある山頂付近まで行くには、歩いて山を登るしか方法がありません。
かなり急な勾配の階段を登るルートと、距離は長くなるものの舗装道路から比較的なだらかな山道を歩く2つのルートがあります。

行きは駐車場から距離的に近い、階段を使って登るコースで向かうことにしました。
635段の階段
鳥居が建れられた階段ルートの入り口は、駐車場から見える明王寺のすぐ奥にあります。

不動山の巨石群は「明王寺の奥の院」とも呼ばれているそうです。

階段スタート地点の鳥居
明王寺を通りすぎるとすぐに、階段コースの入口となる鳥居と階段が現れます。

下から見上げる階段は結構急な勾配がついており、巨石まで緩やかな階段はほとんどありません。

傍に「まわり道」と書いた道標があります。
階段が心配になった方は、この小道から続くまわり道ルートで山頂に向かうことができるようです。

急勾配の階段と休憩用のベンチ
いよいよ巨石に向かって階段を登っていきます。

階段の途中には、残りの段数を教えてくれる道標や休憩用のベンチが数箇所あります。

この日はまだ寒い1月の後半でしたが、結構汗をかきました。
暑い季節に訪れる際には水分持参が必須でしょう。

まわり道コースとの合流地点
ほどなくして、まわり道コースとの合流地点に到着しました。

「すぐ頂上」の文字が。いよいよ巨石と対面できそうです。
伝説の巨石と対面|頂上付近の様子
不動山の頂上付近は冬の澄んだ空気のなか木漏れ日が美しく、巨石群が佇む雰囲気は古の伝説への想像をかりたてる神聖なものがありました。

巨石と三宇の石祠
画像で見たことのある、岩陰の祠と巨石。
三宇の石祠は巨石に守られるような姿で静かに並んで佇んでいます。

木漏れ日が剣の形をした前立てに反射し、近寄りがたい神々しさを演出しています。
不動山三社
不動明王の祠を中心に、左右には仏法の守護神である八大竜王、不動明王の使いとされる金剛童子が祀られています。

石祠の前には、まだ上へと続く小道があります。
巨石群
石祠と巨石の横を通り、さらに上へと登ってみます。

登ってみると、たくさんの3〜4mはありそうな巨石がごろごろと点在していました。

重なって寄りかかり、樹木と一体化したような巨石。

なんとも不思議な光景です。
これは一言主神が立てかけた巨石なのでしょうか・・・。
葛城修験とダイアモンドトレール
巨石群をすぎてもまだまだ山道は続き、数キロほど進むと「ダイアモンドトレール(通称ダイトレ)」と呼ばれる道へとつながります。
ダイアモンドトレール
ダイヤモンドトレールは、ここ和歌山と大阪・奈良を尾根道でつなぐ45kmにも及ぶハイキングコースです。

日本遺産 葛城修験
役行者が開祖といわれる修験道の神社や滝、それらを修験者たちが巡り行う修行、その行場などを総括して「葛城修験」と呼び、現在日本遺産に登録されています。

この行場を巡る尾根道ルートが後世ダイアモンドトレールとして整備され、現在も自然を愛する多くのハイカー達に親しまれています。

このまま進んでも大阪に帰れますが、バイクも待ってることですし今日のところはこの辺で引き返そうかと思います。
日本の音風景100選
祠の手前にある大岩には、直径20㎝ほどの穴が空いています。
この穴に耳をあてると微かな音が聞こえることから、不動山の巨石は環境省が定める「日本の音風景100選」に選ばれています。


聞こえる音は天候によっても変わるそうです。

どんな音が聞こえるか、訪れた際に試してみてはいかがでしょうか。
巨石群周辺の様子
巨石群の手前には、神社や休憩所・簡易トイレや手洗いの水場があり、楠木正成が腰掛けたとされる御座石などもあります。



散策コース②:まわり道
まわり道コースは階段を使わず山道を迂回するコースで、山道が終わると不動山巨石駐車場から続く舗装された道路と合流します。
帰りは登りに比べ階段でも楽に降りることができそうですが、折角なのでまわり道コースを使って散策しながら山を下ります。

大きく迂回するまわり道コース
先ほど通った階段コースとの合流地点を右に下ればまわり道コースです。

散策とはいっても舗装されていない細い山道です。足元が良くない所もあるので、滑りにくいブロックソールの靴をおすすめします。
自然の中を歩く小道
緩急のついた細い山道をカーブしながら下っていきます。

見晴らせる展望スポットなどはありませんが、空気がきれいな自然の中を歩く気持ちの良いコースです。

麓が近くなってきました。
距離は長くなりますが、休憩を交えた行きの階段コースよりも随分早い気がします。

山頂への山道入口〜明王寺
さして時間もかからず山道を下りきりました。
山道が終わると、駐車場へと続くアスファルト舗装された道路につながります。

まわり道コースの舗装された道路沿いには小川が流れ、ポツポツと民家が点在するのどかな風景です。

しばらく下っていけば不動山巨石駐車場に到着します。

階段コース入口の傍から続いていた細道への分岐点は確認できませんでしたが、どこかでつながっていたのかも知れません。
巨石と毘沙門天の祠(ほこら)
駐車場へ向かう道路の左側に、またしても巨石と祠が現れます。

この祠は毘沙門天を祀っているようです。

古代米
橋本市の杉野地区は、古代米の生産地としても有名だそうです。

巨石駐車場に到着
民家が点在するのどかな風景をしばらく歩くと、最初の駐車場まで戻ってくることができました。

ポツンと待つバイク。安堵と愛情を感じる瞬間です。
まとめ
そんなに遠くはなかったにもかかわらず、初めて訪れた不動山の巨石。今回の伝説探訪ツーリングもなかなかに楽しい体験でした。
まだまだ身近にも、未知なる伝説が眠っているのかも知れませんね。
