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大切なバイクも10年、20年と古くなるにつれ徐々に純正部品も生産を終了し、維持するには費用は勿論、ある程度の工夫が必要になります。
先日冷却水漏れをおこした2000年式のキャブ車、ホンダCB1300SFsc40の純正ラジエーターもすでにメーカー在庫もなく販売終了の廃番です。
今回はひとまず純正ラジエーターを応急修理した後、ネットで見つけた海外製の安価な新品社外ラジエーターを試しに購入して交換してみました。
CB1300SFの冷却水漏れ
ある日ツーリングから帰ると、CB1300SFのラジエーターからもうもうと煙が上がっています。

エンジンが熱い状態でラジエーターから冷却水が漏れ出すと、湯気(蒸気?)とともに甘い香りが漂います。
ラジエーターフィンに広がる赤いシミ
ガード越しにみえるラジエーターのフィン一面に赤い跡が広がっており、冷却水漏れが一目瞭然で判明しました。

バイクや車の冷却水(クーラント)は、漏れた際にエンジンオイルなどと区別しやすいように赤やピンク、緑色に着色されています。
なじみのバイク屋に連絡すると、この年式のCB1300SF用のホンダ純正ラジエーターはすでに廃番でメーカー在庫もないとのことでした。
バイクを維持する部品(パーツ)
バイクは非常に多くの部品が組み込まれた工業製品で、破損や経年劣化にも部品(パーツ)を交換することで長く乗り続けることができます。
バイクの部品はバイクメーカーが新車発売時に実装する純正部品と、カスタムパーツや純正の代用となる部品を製造する会社が販売する社外部品とに大別できます。
純正部品
数ある純正部品もリリースから数年〜数十年の単位で生産が終了していきますが、新型車に引き継がれたり同じパーツが品番を変えて継続されることもあります。
小さなネジやパッキン1つから販売される純正部品もあれば、複数の部品がセット販売されるものもあり、後者はサービスマニュアルやパーツリストで「ASSY.」「COMP.」と表記されます。
ASSY.(アッセンブリー)
「ASSY.」は assembly/アッセンブリー の略語で、セット購入が必要なものもあれば構成部品を単品で購入できるASSY.もあります。
COMP.(コンプリート)
「COMP.」は complete/コンプリート“完成品”といった意味合いの通り、一つの完成部品として扱われるため構成部品の単品購入はできません。
ASSY.やCOMP.は大きさや金額ではなくその利便性よって括られ、例えば何百もの部品で構成されるエンジンには沢山のASSY.とCOMP.が組み込まれています。
社外部品
社外品とはバイクメーカー以外の「パーツメーカー」が製造or外注して販売する部品を指し、古くは“改造部品”、近年では“カスタムパーツ”などと呼ばれることもあります。
“CB1300SF 1998〜2002年式(SC40)に適合” など専用設計される部品も多く、純正部品の代用やドレスアップ、性能アップの目的で多くの需要があります。
汎用品(はんようひん)
ネットなどでよく目にする“汎用品”もまた社外品と言えますが、専用設計というより複数の車種に適合するイメージの部品です。
純正品と比べ格安のドレスアップパーツや消耗品が多くネット市場に参入していますが、なにより安全性を吟味して選択することが肝要です。
ラジエーターの交換費用
とりあえず冷却水漏れの応急修理はしましたが、古い純正ラジエーターは全体的に劣化しているため何か対策が必要です。
今回ネットで見つけたCB1300SF適合を謳う海外製の社外ラジエーターは非常に安く、ラジエーター交換にかかった費用は全部で1万数千円程度でした。
【ラジエーター交換に用意したもの】
- 海外製社外ラジエーター
- 工具類
- 取り付け用ステー
- 冷却水(クーラント)
ネットでの部品購入はポイント還元やセールなど、特にお買い得なタイミングもあります。
海外から届いた新品ラジエーター
今回ネットで見つけて購入した新品ラジエーターは、海外から直送されるのみで国内での店頭販売はありません。

なにより安さが魅力
評価は気になりましたが物は試し、純正ラジエーターが廃番となった今、何とか使えるのであれば送料込みで中古品ほどに安い新品は非常に魅力的です。
海外便は国内配送に比べ日数がかかりますが、注文から9日ほどで無事に商品が到着しました。
交換に必要な工具類
ラジエーター交換には変わった道具や専用工具は必要ありません。
家にあるもので事足りたため工具の費用はかかっておらず、工賃も自分で交換したので0円です。
TONE(トネ)ラチェットセット
一般的なラチェットサイズは12.5㎜、6.5㎜などもありますが、バイク整備にはいつもTONEの9.5㎜ソケットセットを使っています。
ラチェット作業はグリップの短いタイプとの併用や、延長ソケットなどがあればなお便利です。
取り付け用ステー(固定金具)
届いた海外社外ラジエーターと純正品を比較すると、固定のためのボルト穴位置にズレが3箇所ほどあり“ポン付け”とはいきませんでした。

微妙な穴ピッチをDIYで加工

微妙な穴ピッチと角度が必要な穴位置調整用のステーは、家にあった適当な金属ステーを加工して自作しました。
使用したステーは、ホームセンターなどで購入しても数百円のものばかりです。
冷却水(液)・クーラント
冷却水は冷却液やクーラント以外にも、真冬でも凍結しないため不凍液とも呼ばれています。

ラジエーターを交換するには一旦ほとんどの冷却水を抜く必要があり、今回は希釈せずそのまま使えるタイプの2Lを購入しました。
リザーバータンク内の冷却水まで全て交換すると3L近く必要ですが、足りなければ既存冷却水の一部を再利用か水を混ぜて対応しようと思います。
冷却水(クーラント)の交換時期
ゴミなど不純物の混入さえ注意すれば再利用も可能なクーラントですが、年数とともに冷却性能や防錆効果が損なわれるため、数年で交換が必要とされています。
冷却水の温度を把握して管理しやすくする、オートゲージ(水温計)などの社外パーツも多数販売されています。
純正ラジエーターの交換費用
有名バイクメーカーの純正部品は信頼度が高く、修理の際はバイク屋さんで純正部品に交換するのが安全面では最も安心な方法です。
ホンダ純正ラジエーターの最終販売価格
ちなみにすでに廃番となったホンダ純正ラジエーターの販売最終価格は6万円数千円程度でした。
バイク屋さんで交換を頼めばついでに付随する消耗品の交換も替えたくなり、工賃もかかりますので大体8万〜10万程度の交換費用になったでしょうか。
漏水した純正ラジエーターの取り外し
応急修理した純正ラジエーターの漏水再発が心配だったこともあり、ラジエーターが届いたので早速交換作業にかかります。
【ラジエーター取り外し手順】
- サイドカバーやシートを外す
- ガソリンタンクをリフトアップ
- 冷却水(クーラント)を抜く
- 接続部品を抜いて本体を取り外す
シートやサイドカバーの取り外し
まずはシートとサイドカバーを取り外し、外した外装は作業スペースから少し離れた所に仮置きしておきます。

すでに外していた曲がりやすいラジエーターガードも一緒に置いておきます。
ガソリンタンクを外す(リフトアップ)
CB1300SFは、シート下の六角ボルトを2本を外すとガソリンタンクをリフトアップできます。
作業がしやすいように、しっかり角材をかまして浮かせておきます。

ガソリンタンクを完全に外さなくても作業できそうなので、長さがかろうじて足りるフューエルホースなどは外しませんでした。
【ガソリンタンクを外す理由】
- クーリングファンのカプラー抜き差し
- ラジエーターキャップの開閉
- 冷却水の注入
ラジエーターキャップやクーリングファンのカプラー等がそのまま触れるバイクであれば、わざわざタンクを外す(浮かせる)必要はありません。
冷却水を抜く
冷却水はパッキン付きのボルト(ドレンボルト)を適度に締め付け止水されています。
ドレンボルトを外す
クーラントのドレンボルトを、8ミリのソケットをつけたラチェットレンチで外します。

冷却装置はエア抜きされた密封状態ですので、この時点では冷却水は大量に流れ出てきません。
ラジエーターキャップを開ける
エンジンが冷えていることを確認してラジエーターキャップを外します。
※エンジンが熱い状態でキャップを外すと、冷却水が噴き出しヤケドする可能性があるため大変危険です。
ラジエーターキャップを開け空気が入ると、勢いよくクーラントがドレンから排出されます。

キャップロックは2段階式になっており、外す段階ごとに排出される冷却水の勢いが変わります。

段階によって放物線が大きく変わるほど排出の勢いが違いますので、クーラントを受けるバケツなどを置く位置には注意が必要です。
ラジエーター本体の取り外し
クーリンングファンのカプラーを抜く
クーリングファンに繋がるファンモーターの2Pカプラを外します。

ラジエーターホースを外す

プラスドライバーでアッパーホース・ロアホースのバンドスクリューをそれぞれ緩め、2本のラジエーターホースを外します。
ラジエーター固定ボルトを抜く
最後にバイクのフレームとラジエーター本体を繋ぐボルトを4本抜き、正面左の落下防止部を横にスライドさせるとラジエーターが外れます。
純正品と社外品の互換性チェック
取り付け作業にかかる前に、取り外した純正ラジエーターと海外製社外品との互換性をチェックしておきます。

【互換性チェック項目】
- バイク本体取り付け用ステー
- クーリングファン取り付け用ステー
- ラジエーターガード用タップ穴
- ファンモータースイッチ用タップ穴
二つのラジエーターを並べてチェックすると、簡単にポン付けという訳にはいかず少々の工夫が必要なことが分かりました。
ポン付け可能箇所
有難いことに、取付に問題がない箇所が半分以上ありました。
ラジエーターガードのボルト固定穴(4ヶ所)
ラジエーター側面に合計4ヶ所ある、ラジエーターガード取り付け用ボルト穴位置はほぼ同じで、タップ切りも問題なく純正ボルトでしっかり固定できそうです。

強いて言えば新品ラジエーターの本体幅がごくわずかに短く、心配なら薄いワッシャーをかまして嵩上げする程度でしょうか。
ファンモータースイッチのタップ穴
ファンモータースイッチのタップ穴もピッタリ合いました。

大きめのタップ穴を加工するのは結構大変ですので、これは嬉しいところです。
ポン付けできない箇所
ラジエーターのアングルやステーの寸法を比較したところ、ラジエーター下部の取付け穴3箇所にズレがあることが分かりました。

穴位置のズレがわずかな為にかえってやりにくさはありますが、きっちりステーを加工すればなんとかなりそうです。
ラジエーターの組み付け
新しいラジエーターと純正の違いがわかったところで取り付けにかかります。
純正クーリングファンの取り付け
まずは純正クーリングファンを新しいラジエーターに取り付けますが、新しいラジエーターのアングルが純正より厚く、純正のタップを切った座金は使えません。

上の2本はボルトとナットで組み付け、下の1本は自作したステーで穴ピッチを合わせました。
ラジエーター取付け用のステーを自作
穴位置と角度が微妙すぎるため既製品そのままでは合わず、加工して製作しました。

バイクにラジエーター本体を取付け
いよいよ新しいラジエーターをバイクに取り付けます。

製作したステーでラジエーターの角度を見ながらしっかりボルトで締め付けていきます。

カプラー・ラジエーターホースの接続
ファンモーターの電源カプラも忘れず接続し、アッパホース・ロアホースを差し込みバンドスクリューでしっかり固定します。
冷却水を入れてラジエーターキャップを閉める
ドレンボルトをきっちり締めて、再び冷却水を注ぎ込みます。

新しいラジエーターに流れ込む冷却水の音が、まるで清流のせせらぎのように心地よく響きます。
外装を戻して完了
あとはタンクを戻してサイドカバー、シートを装着して無事完了です。
あとがき
ラジエーターを交換してからツーリングで約500kmほど走行しましたが、今のところは何も問題はありません。
肝心なのは性能と耐久性ですが、ラジエーターの真価が問われる真夏を数年でも乗り切れば、価格的に見ても十分価値のあった商品と考えます。
今後も様子を見つつ、もしもに備えて他の純正部品も見つかればストックしていきたいと思います。
